【連載】ベストカー本誌編集委員・梅木の「ちょっとした話」 Vol.41 「わかりやすい指示を出してちょうだいよ~。マジ、危険だからさ‼」
2024/07/24取材の帰り、自動車専用有料道路を走行していたベストカー本誌編集委員・梅木智晴。独自の「嗅覚」で、梅木が運転するクルマの周辺を走る「覆面パト」の存在にすぐ気がついた。
そして、梅木の近くを走っている1BOX車に迫り、「おや? 違反しちゃったのか!?」と思ったが、どうもそうではないらしい……。その直後の覆面パトの動きに……焦る、梅木!! どうなる、我らが梅木!?
先週からお届けしている、覆面パトとの「やりとり」を赤裸々に語る「後編」。事の顛末はどうなったのかぁ!? (ベストカーMate編集部B/写真:Adobe Stock、ベストカー編集部)
■え!? 覆面パトが狙う対象はオレですか?? 私、梅木がいったい何をしたって言うんだい?
覆面パトの狙いは1BOX車かと思い、少し見ていたが、その覆面パトが私のクルマの右斜め前に至ると左ウインカーを点滅。私の前に入りたいらしい。
緊急車両の走行を妨害する気持ちはまったくないので、ACCを切って速度を落として車間を開ける。でもさ、この状況ってどう考えてもオレ……、捕まっちゃったの!?(マジですか?)
正直言って、まったく身に覚えはない。確かに先ほど覆面パトを追い抜いたが、制限速度の範囲内だった。そして抜き去った後、速やかに安全を確認してウインカーを点滅して左車線に移っている。
普通に考えて、違反してないよね……!
そして、私のクルマの前にスッと入った覆面パト。もし、私が違反していたら、このタイミングでリアガラスに電光パネルが立ち上がって「パトに続け」みたいなサインが出るのだが、特にそれはない。
うーん? 私を検挙したいなら、理由はなんだろう? 制限速度は問題なしで、シートベルトは当然装着している。スマホ画面を見ていたなんてことは断じてない。
うむむ。わからん。
■覆面パトの窓から右手が出て、合図を送っているが……何を意味しているのかわからん!
すると、覆面パトのドライバーが右手を窓から出して合図を送っている。手のひらを前に向けて腕を前後に動かしながら指先を動かしている。
この動き、「右車線から前に回れ」とも取れるし、「このまま後ろにつけ」とも取れる。マイクで何か言うかもしれないと思い、前席窓は左右とも開けたのだが、声での指示はない。
相変わらず右手の合図が続くので、とりあえず右車線に出て覆面パトに並びつつ様子を伺うのだが、相変わらずの手の動き。いったい私にどうさせたいワケなの? わからん、マジでわからん。
でも、知らん顔して走り続けて「逃げた」みたいになるのも不本意なので、「止めるならお止めなさい。しっかりと話をしようぜ‼」と覆面パトの前に回り組んだ。
有料道路の途中出口が迫り、流出車線への分流地点に差しかかる。ミラーを見ると覆面パトは流出車線に入っている。さあどうする? 私はここで有料道路を出るつもりはなく、目的地はさらに先なのだけど……!?
ちなみに上の画像は、高速道路の覆面パトと検挙されたクルマ。パトカーは違反車両の後方に停車して後方からの車両に対して警戒を促すことが多い(写真はイメージで本文の内容とは直接関係ありません)。
■不明瞭な指示のため、私のクルマは「完全に挙動不審車」状態に!!
コンマ数秒間の間に、もの凄くいろんなことが頭を巡った。出口車線に移って左に寄せて止まるか? いや、覆面パトの合図、指示が不明瞭なのがいけないのだから、このまま走行車線を淡々と走り続けるか? 逡巡が運転を惑わせた。
一瞬、左ウインカーを点滅させて出口車線へ進路を取りそうになりながら、いや、戻ろう……と今度は右ウインカーを点滅させて走行車線へ戻る動きをしてしまった。かなりの挙動不審車だし、私の動きは危険なものだっただろう。大いに反省すべき車両の動きだと思う。
そして最終決断は、「走行車線を淡々と走る」とした。
もし、私が検挙の対象であれば覆面パトカーはサイレンを吹鳴して出口車線から本線に戻って私を追うだろう。それに、ここまでの私の動きや対応は、ドラレコに記録されているので、逃亡の意思はまったくなく、明瞭な合図、指示に惑わされたことは証明できるはずだ。
ちなみに、上の画像は警視庁のマークXスーパーチャージャー覆面パトカー! 一般道での交通取り締まりにあたっている(写真はイメージで本文の内容とは直接関係ありません)。
■結局、覆面パトは何をしたかったのかというと……!!
さて、覆面パトはどう動く? ミラーを確認すると、ハザードランプを点滅させながら車速を落とし左に寄せている。ありゃ止まるなぁ。背後には例の1BOX車。
おいおいおい! 最初から検挙対象は1BOX車だったのかい!
それにしては覆面パト、あまりにもわかりにくい動き方と指示。つまり、私に対して出した右腕の合図は「先に行け」という意味だったのだろう。
であれば、マイクでひと言「運転手さん、あなたではありません。気をつけて先へ行ってください」と言ってくれればよかったのだ。
なんでサイレン鳴らして私の前に入ったのだろう? サイレン鳴らした覆面パトが急に前に入ってきたら、運転に不慣れなドライバーだったらパニックになって急ブレーキを踏んだり、車線変更でフラフラして危険な状況になったかもしれないですよ、マジな話。
わかりやすい指示を出してほしいですよ、ホントに。頼みますよッ!!(ベストカー本誌編集委員・梅木智晴)