プレビューモード

【連載】ベストカー本誌編集委員・梅木の「ちょっとした話」 Vol.17[水野和敏さん取材のちょっとした話・その3]

 ベストカー本誌編集委員・梅木が人気連載中の「水野和敏が斬る!!」企画の編集担当ということで、取材時のこぼれ話や水野さんの考えなどを披露する、「水野和敏さん取材中のちょっとした話」。

 最後の「その3」といきましょう。クルマを試乗しての評価の第一歩は毎回、「歩くほどの速度で走らせる」のが水野さん流。その後、時速20キロほどで走り、車体パネルのアソビなどを判断する……までが前回のお話。

 その後、いよいよ水野さんの走行評価のクライマックスが始まるわけだけど、意外な一面があるのです。そんな「ウラ話」も公開します!(ベストカーMate編集部B

■試乗するクルマが道路に出たとたんに急激に速度を上げる……。そんなことを絶対しないのが水野さん流

 水野和敏さんの試乗評価。試乗車が道路に出ても急激に速度を上げるようなことはしない。路面の微妙な凹凸を通過する際のサスペンションの動きを見るために、時速40キロ前後で余計な荷重をかけないような状態で走るのが水野さんの乗り方だ。

 速度を上げてタイヤがスキール音を発するような領域で走らせても、クルマ本来の素性は見えてこないからだ。例えば上の写真。池之平昌信カメラマンのテクニックで、2台ともハイスピードで走っているように見えるけど、実は時速50キロで走行中なのである。下の写真も、同じくハイスピードではない。

■スキール音を響かせることはない。ゆっくり走らせることで「見えてくる」ことが大切

 水野さんは、この走らせ方でショックアブソーバーの減衰特性のグラフが頭の中に描けるのだという。だから「どの領域で伸び側をどれだけ緩めるともっとよくなる」といった具体的な改善ポイントを的確に指摘できるのだ。

 例えばGT-Rの開発現場では徹底的にデータを取って、「何」を「どう」変えれば「どのような」結果になるかを定量化して共有していたという。それはショックアブソーバーの減衰特性だけではなく、例えばエンジンのトルク特性などについても同様だ。

 吸気管の取り回しの差異でトルク特性にどのような変化が出るのかといったことも、数多くのデータ蓄積によって、瞬時に判断できるようになったという。

 だから、水野さんの取材現場では試乗車がスキール音を響かせて、猛スピードで走る、ということはない。むしろ、ゆっくり走らせることで「見えてくる」ことが大切、という。これがわかっただけでも、水野さんの取材現場にいる価値がある……と、私、ウメキは実感している次第です。

 ……ということで、再びですが最後に宣伝をさせてください。

 ご紹介した、ベストカー本誌連載中の「水野和敏が斬る‼」企画を一冊にまとめた本、別冊ベストカー『水野和敏が斬る‼』(本体価格1500円/税込1650)が現在、好評発売中です! 水野さんの自動車評価のすべてがわかる内容になっています。

 全国書店やアマゾンなどで購入できますので、ぜひとも! よろしくお願いいたします。(ベストカー本誌編集委員・梅木智晴)