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【連載】ベストカー本誌編集委員・梅木の「ちょっとした話」 Vol.33[オッサンにはハードル高し、青春18きっぷ]

 どうも~。毎週水曜日のお楽しみとして定着しつつある、ベストカー本誌編集委員・梅木の「ちょっとした話」。今回は梅木がとってもとっても大好きな「鉄道」のネタです。

 2010年に遡った話とのこと。……さぁ、張り切っていってみましょう!(ベストカーMate編集部B

■若者限定と思ってしまいそうだけど、年齢関係なしに使える「青春18きっぷ」

 「青春18きっぷ」をご存じだろうか? 春休みや夏休みなどの期間を定めて販売され、一定期間内に使用できるJRグループの切符だ。5枚つづりで12050円。

 1枚あたり1JR線を普通列車に限り何度でも、距離も無制限で利用することができる切符。「青春」とか「18」とかいうので若者限定と思ってしまいがちだが、利用者に年齢制限はない。還暦間近のウメキが使って鉄道旅行をしても、もちろんOKだ。

■何十年ぶりかの座席夜行列車の旅に、私ウメキはワクワクしながら東京を出発!

 今から15年ほど前のこと。ふと思い立って「青春18きっぷ」を使った鉄道旅行に出た。東京駅を23時過ぎに出発する「ムーンライトながら」大垣行きで東京を旅立つ。

18きっぷ」は1日乗り放題の切符なので、日付をまたぐ小田原までの乗車券を別途購入して、「18きっぷ」の無駄遣いを防ぐのは、この切符を使う際の定石だ。
 私、ウメキが大学生の頃まで、JRはまだ国鉄で、「青春18きっぷ」はなかったが、周遊券という乗り放題切符があったのです。

「北海道ワイド周遊券」やら「京阪神ミニ周遊券」などを使って長距離鉄道旅行をたびたび経験していた私は、久しぶりの座席夜行列車での長距離旅行にワクワクしていた。

 私が乗っている「ムーンライトながら」という夜行普通列車の歴史は長く、1970年代中盤、私が小学生だった頃に初めて乗った時代には列車名などは特になく、列車番号「347M」から「サンヨンナナ」などと呼んでいた。
 あの頃の車両は急行型で、座席は直角の向かい合わせ。でも今回の「ムーンライトながら」は特急型の183系でリクライニングシートだ。ずいぶんと快適になったものだ。

 ちなみに上写真は特急「踊り子」の車両だが、これが「ムーンライトながら」に使われていた時期もあったのですよ。

■乗り放題の「強み」を活かして、関西エリアをウロウロ!

  往路は案外快適に進んだ。大垣駅には早朝6時頃に到着するのだが、道中そこそこ眠れたし、大垣駅で接続する大阪方面列車への乗り換えもスムーズにできた。よっしゃ、 慣れたものよ‼ なんて調子に乗っていた。

 その後日中は北陸本線の敦賀方面に足を延ばしたりして「普通列車の旅」を満喫。その夜の大垣発東京行きの「ムーンライトながら」の席を確保していたので、それまでの間、乗り放題を活かして関西エリアをウロウロ。
 調子に乗ってあちこち足を延ばしすぎたこともあって19時くらいに新快速で米原駅に到着した頃には、疲労もピークに達していたんですよ。

 ちなみになんですが、上写真。今や北陸新幹線の西の終点となった敦賀駅。2010年当時はまだまだ新幹線の影もなかったですね……。

■さてはてどうする!? 新幹線の激しい誘惑が襲いかかる!

  自分のなかでの計画では、この後東海道本線の普通電車で大垣駅を目指し、夕食を食べて「ムーンライトながら」に乗って帰京するのだが、米原駅で激しく逡巡。新幹線の誘惑だ。
 1万2000円ほど出せば2時間ちょいで東京駅に戻れる。お金がないわけではない。「18きっぷ」の旅を楽しむのが今回の目的。……だが、「楽しむ」には少々疲れが溜まりすぎ。もはや苦痛にすらなりつつある(涙)。

 さぁ、どうする? 「18きっぷ」は新幹線には使えないが、もう充分に「今日の分」は使った。普通列車の旅も満喫しきった。となれば12000円使って、スピーディに家に帰って風呂入って布団で寝るというのが、まあ、オッサンの選択肢としては妥当だし、間違いないことはわかっていた。

■帰りの車中はまさに修行(汗)。それでも懐かしの思い出です

 でも結局、新幹線は使わず、当初の計画通り「ムーンライトながら」での帰京を選択した私なのです。大垣駅を22時過ぎに出て、東京駅到着は翌朝5時過ぎだったと記憶している。

 車中はまさに修行の旅路。疲れ切って眠いのだが、今ひとつ眠れない。ちょっとウトウトしては目が覚め、しばらく車窓を眺める。ふたたびウトウトするのだが腰は痛いし、ずっと座っていたからお尻もヒリヒリするので目が覚める。この繰り返しが東京到着まで続くのだから、修行以外の何物でもない。

 そりゃあそうだよな~。

 10代の頃は車中2連泊や3連泊は当たり前。駅前銭湯でサッパリしてさらに連泊なんてこともまったく苦にもならなかったし、それしか手段がなかったから当然のことだったのだ。

 しかし、2010年の時点で私ウメキは45歳。座席夜行列車2連泊はちょい無理がありました。
 とはいえ、今や長距離夜行普通列車は全滅。つまり「運行されていない」。あの修行のような夜行列車の旅も「今や昔」。思い出の彼方となってしまいました……。

 最後に紹介した上写真。1980年代の大垣行き夜行はこの写真のような急行型だった。座席は直角向かい合わせで、リクライニングなどなかった。ま、これも味わいアリでしたよね。(ベストカー本誌編集委員・梅木智晴)