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【連載】ベストカー本誌編集委員・梅木の「ちょっとした話」 Vol.16[水野和敏さん取材のちょっとした話・その2]

 毎週水曜日に記事公開している、本誌編集委員・梅木の「ちょっとした話」。

 梅木がベストカー本誌毎月26日号で連載中の「BC入魂企画 水野和敏が斬る‼」の編集を長く担当していることもあり、水野さんの考え方やクルマの評価の仕方が体に染みついているんです。

 ならば、このベストカーMateでその一端をご紹介しましょう! と、前週から公開しているシリーズの2回目。前週は水野さんの「クルマの見方」などを紹介したが、今週はいよいよ試乗中の評価部分にも入りますぞ。(ベストカーMate編集部B

■ドアのウエザーストリップを見るだけでも、そのクルマに対する開発者の気遣いが見えてくる。それが水野さん流の見方!

 撮影&評価する現場での水野和敏さん。評価するクルマのドアを開けて、ウエザーストリップの材質を見たり、サイドシルとBピラーの取りまわしの形状を見る。

 シートに座る際も、足元の通過性や乗り込む際の姿勢などをチェックする。座った後の着座感やドライビングポジションなどを確認するのは当然だが、水野さんの評価では乗降時のスムーズさなどが厳しくチェックされるのだ。

こうした部分に開発者のユーザーに対する「おもてなし」の心が現れるというのが、その理由。

 例えば下の写真。ドアのウエザーストリップを見るだけでも、そのクルマに対する開発者の気遣いが見えてくるのだという。

 さらには下写真。4ドア車なら後席の乗降性にも厳しい評価の目が向けられる。特にサイドシル部のドア開口部の広さは、足元の通過性にかかわり、乗降性の善し悪しに影響するという。

  ……と、ここまで試乗はおろか、まだクルマのエンジンすらかけていない。水野さんの取材では走り出すまでに早くて1時間、場合によっては1時間半以上経過するのがお決まりごと。

 そう、たっぷりと時間をかけて細部をチェックする。「乗って走らせるのは最終確認」なのだ。

ルマを停めたまま1時間から1時間半ほどかけて評価し(!!)、ようやくクルマを走らせる。が、最初は「人が歩くほどの速度」

 1時間から1時間半ほど、しっかりと評価する2台のクルマの細部を確認したら、いよいよそれらに乗り、試乗に出るのだが、水野さんの試乗には「お作法」ともいえるルーティンがある。

 毎回同じ場所で同じ乗り方をすることで、各車の微妙な差異を見逃すことなく感じ取り、評価するためだ。

 走り始めは、駐車エリア内をゆっくりと、それこそ歩くほどの速度で走らせながらステアリングを大きくゆっくりと左右に切る。

いきなり速度を上げるようなことをしないのは、荷重を車体にかけない状態での「素性」を見るため。

 速度を上げてサスペンションからの入力がかかると、車体構造パネルの合わせ面にあるアソビなどが荷重によって隙間が詰まり、本来の車体構造が判断できないためだという。下写真は時速20キロ程度で走り、車体パネルのアソビなどが判断している様子だ。

 こんな流れで水野さんの走行評価のクライマックスが始まっていくが……。この続きは次回の[水野和敏さん取材のちょっとした話・その3]でご紹介しましょう!(ベストカー本誌編集委員・梅木智晴)

  ……ということで最後に宣伝をさせてください。

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